「猫の終活」という言葉を聞くと、ちょっと重たく感じるかもしれません。
でも実際には、終活は“死”を考えることではなく、愛猫が最後まで安心して幸せに過ごすための準備を指します。
猫ちゃんがまだ元気なうちにできることを整理しておけば、いざという時に慌てずにすみます。
また、すでに最期の時を迎えようとしている猫ちゃんと暮らしている方にとっても、少しでも心の支えになる情報が「猫の終活」です。
この記事では、猫の終活とは何か、その内容や準備すること、そして最期の時に役立つ知識まで、猫飼いさんの立場に寄り添いながら解説します。
“終活”は不安なものではなく、最後まで幸せに寄り添うための“愛情表現”だと思っていただければ嬉しいです。
猫の終活とは?

「猫の終活」とは、愛猫がシニア期を迎え、やがて訪れる最期のときまでを 安心して、穏やかに過ごせるように整えていく準備 のことです。
人間の終活と同じく「死」を意識するものではありますが、その本質はネガティブなものではありません。
むしろ、今をより大切にし、後悔を減らすための前向きな行動なのです。
具体的には、こんな内容が含まれます。
- 生活の整え:シニア猫でも快適に暮らせる寝床やトイレ、食事の工夫
- 医療の方針:延命治療を望むかどうか、セカンドオピニオンを取るかなど家族で話し合う
- 経済的な備え:医療費や介護費用、葬儀にかかるお金を想定して準備する
- 思い出作り:写真や動画、肉球スタンプなどで記録を残す
- 最期の選択肢:葬儀や供養の方法を事前に知っておく
- 飼い主の心の準備:ペットロスを少しでも和らげるための工夫
つまり「猫の終活」とは、飼い主と猫の両方が安心できるように、暮らし・心・実務を整える総合的な準備なのです。
猫が元気なうちにできる準備

猫ちゃんがまだ元気なうちに、少しずつ整えておくことで「いざ」という時に慌てずに済みます。
ここでは、日常のケアから実務的な備えまで、猫飼いさんができる準備をまとめました。
1. シニア期を快適に過ごす工夫
寝床を快適に整える
シニア猫は一日の多くを寝床で過ごします。寝床を整えるだけでも、体の負担や寒さから守ることができます。
- 段差の少ないベッド:高い場所ではなく、床に近い低いベッドを用意してあげる
- 猫マットの活用:低反発タイプや体圧分散マットで関節への負担を減らす
- 冬の保温:体温が下がりやすい季節は、ペット用ホットカーペットや保温マットを毛布の下に敷く
※低温やけど防止のため、カバーをかけたり、逃げられる場所を用意するのが安心です
例えば…


ホットカーペットを使う際の注意点はこちらの記事もお読みください。

出入りしやすいトイレにする
シニアになると足腰の筋力が落ちて、高い縁のトイレが負担になることもあります。
- 浅型トイレやスロープ付きのトイレに切り替える
- 多頭飼いなら、猫の数+1つ以上を用意してあげる
例えば…


食事の工夫
消化力や噛む力が落ちてきた猫ちゃんには、食事の工夫も大切です。
- ドライフードをぬるま湯でふやかす
- ウェットフードを混ぜて食べやすくする
- 食器を少し高めに置くと、首や腰に負担がかかりにくい
例えば…


小さな環境改善が、猫ちゃんの生活の質を大きく左右します。
2. 医療方針を話し合う
猫ちゃんがシニア期に入ると、病気や体調の変化に直面することも増えてきます。
そのとき慌てないために、家族で医療方針を話し合っておくことはとても大切です。
- かかりつけ医を決める
- 普段から相談できる獣医さんを持っておくと安心です。体調の小さな変化にも気づいてもらいやすくなります。
- 延命治療をどうするか考える
- 点滴や投薬で少しでも長く生きてもらいたいのか、それとも自然に寄り添いたいのか…。元気なうちに家族で方向性を共有しておくと、迷いが減ります。
- セカンドオピニオンを活用する
- 一つの病院だけでなく、必要に応じて別の病院にも相談できる体制を作っておくと、より納得のいく選択ができます。
例えば…
「シニア健診で腎臓に小さな異常が見つかったときにどうするか」など、具体的なシチュエーションを想定して話しておくとスムーズです。
3. 経済的な備え
猫ちゃんのシニア期には、医療費や介護費用など想定外の出費が増えることがあります。
元気なうちから少しずつ準備しておくと、いざという時に安心です。
- ペット保険を確認する
- 加入中のペット保険がシニア期まで継続できるかをチェック。新規加入が難しい年齢になる前に見直しておきましょう。
- 医療費や介護費用の積立
- 突発的な治療費に備えて「猫貯金」を作っておくと安心です。
例えば:毎月数千円でも専用口座や封筒に積み立てておく
- 突発的な治療費に備えて「猫貯金」を作っておくと安心です。
- 葬儀・供養の費用を調べておく
- ペット葬儀の費用は数千円〜数万円と幅があります。相場を知っておくだけでも、心の準備につながります。
例えば…
「急に腎臓病で入院になった」「葬儀をすぐにお願いしなければならなくなった」
そんな時も、事前に少し準備しておけば慌てずに済みます。
ペット保険についてはこちらの記事にまとめています。

4. 思い出を残す
猫ちゃんとの日々は、当たり前のように過ぎていきます。
でも、元気なうちから「形に残す工夫」をしておくと、後から大きな宝物になります。
- 写真や動画を日常的に撮る
- 特別なイベントだけでなく、寝顔や遊んでいる姿、ごはんを食べているところなど「何気ない日常」が後で一番心に残ります。
例えば:同じ場所で毎月1枚撮って成長や変化を記録する
- 特別なイベントだけでなく、寝顔や遊んでいる姿、ごはんを食べているところなど「何気ない日常」が後で一番心に残ります。
- 肉球スタンプや手形
- インクや専用シートで肉球を残しておくと、世界に一つの記念になります。グッズ化(マグカップやキーホルダーなど)するのも人気です。
- 猫ノートや日記をつける
- 「今日はこんなことをした」「新しいフードを食べた」など、小さな記録でも立派な思い出に。
例えば:毎日の一言メモを残すだけでも、後で読み返すと心が温かくなります。
- 「今日はこんなことをした」「新しいフードを食べた」など、小さな記録でも立派な思い出に。
例えば…
SNSに投稿している写真や動画をアルバムにまとめたり、1冊のフォトブックにするのもおすすめです。
フォトブックはこちらのトロットだと簡単に何冊も作れるのでおすすめです。

こういったメモリアルグッズも作れます。


私はメモリアルグッズとしてではないですが、オーダーで大事な愛猫の毛をネックレスにしてもらいました。ネックレスをつけているといつも愛猫と一緒にいる気分になれます♪

こういったグッズを作って家族で見返せば、悲しい時にも笑顔になれます。
思い出を残すことは、猫ちゃんの「生きた証」を未来に繋げる大切な終活です。
5. 飼い主にもしものことがあった場合に備える
猫ちゃんにとって一番の安心は、飼い主さんがそばにいること。
でも、もし飼い主に急な病気や事故があったとき、猫ちゃんが困らないように備えておくことも「終活」の大切な一部です。
- 引き取り先を決めておく
- 家族や親戚、信頼できる友人にあらかじめ相談しておきましょう。万が一のときに猫を託せる先があるだけで安心です。
例えば:「自分に何かあったら、この子をお願いします」と事前に伝えておく
- 家族や親戚、信頼できる友人にあらかじめ相談しておきましょう。万が一のときに猫を託せる先があるだけで安心です。
- 連絡先を共有する
- 病院・保護団体・知人などの連絡先をメモにして、家の目立つ場所に置いておくと、周囲の人が対応しやすくなります。
- 終活ノートやメモを残す
- 「好きなごはん」「嫌いな音」「健康状態」など、猫ちゃんの情報をまとめておくと、新しい飼い主さんも安心してお世話ができます。
例えば:ペット専用の終活ノートや手帳を活用する
- 「好きなごはん」「嫌いな音」「健康状態」など、猫ちゃんの情報をまとめておくと、新しい飼い主さんも安心してお世話ができます。
例えば…
一人暮らしの飼い主さんの場合、財布やスマホケースに「ペットがいます。連絡は〇〇へ」と書いたカードを入れておくと、万が一の時に猫ちゃんが取り残されるリスクを減らせます。

他にももしもの時に便利なのがこちらの「ねこヘルプ手帳」です。愛猫の情報をまとめることができます。

最期の時に役立つ知識

猫ちゃんが最期の時を迎えるとき、飼い主さんにとってはとても辛い時間です。
でも、事前に知識を持っておくことで、猫ちゃんが少しでも穏やかに過ごせるサポートができます。
看取りのサインを知っておく
シニア期になると、次のような変化が見られることがあります。
- 食欲がなくなる
- 水をほとんど飲まなくなる
- 呼吸が浅くなったり、不規則になる
- 眠っている時間が極端に長くなる
こうした変化は「そろそろお別れが近いかも」というサインです。焦らず、静かに寄り添ってあげましょう。
最期のケアの工夫
- 安心できる環境を作る:静かで暖かい場所に寝かせてあげる
- 水分補給をサポートする:シリンジで少しずつ口に含ませる(獣医さんの指示がある場合)
- 好きなものを与える:もう食事量が少なくても、好きだったフードやおやつを少しだけあげる
葬儀や供養の選択肢を知る
- 合同火葬:費用が抑えられ、他のペットと一緒に供養される
- 個別火葬:立ち会いや拾骨が可能で、しっかりお別れできる
- 自宅葬:自宅でお別れをしてから火葬場に送る方法
葬儀社を選ぶときは、口コミや動物病院の紹介を参考にすると安心です。
ペットの葬儀の相談は【おみおくりペット火葬】がおすすめです。
おみおくりペット火葬は、「大切な家族だからこそ悔いの残らないかたちで送り出したい」という想いから生まれた葬儀サービスです。
経験豊富なスタッフが寄り添いながら、猫飼いさんが「ありがとう」と伝えられる温かな時間を大切にしています。
ペットロスと向き合う
大切な存在を失った悲しみは簡単に癒えるものではありません。
- 感情を無理に抑え込まず、涙を流す
- 家族や友人と猫ちゃんの思い出を話す
- ペットロスを支援するコミュニティやカウンセリングを利用する
「悲しむことも愛情の一部」と考え、自分の心を守ってあげることも大切です。
葬儀や供養についての私の考え
私自身が愛猫とのお別れを迎えたときは、海洋散骨をしたいと考えています。
私が海洋散骨を選びたい理由は、自然に還してあげたいと思うこと、そしてその海に行けば「また会えるような気がする」からです。
家は引っ越すこともあるし、お墓を作るとなると後々の管理を誰かが引き継ぐ必要も出てきます。
そう考えると「海に還す」という形が一番しっくりきました。
ただ、全てを散骨してしまうのは少し寂しいので、少しだけ遺骨を手元に残しておくつもりです。
まとめ|終活は終わりじゃなく今を大切にするための愛情表現
「猫の終活」というと、どうしても重たい印象を持ってしまいます。
でも実際には、終活は 猫ちゃんと飼い主さんが最後まで安心して幸せに暮らすための準備 です。
- 元気なうちに暮らしや医療、お金のことを少しずつ整える
- 思い出を残しておくことで、未来の自分や家族の支えになる
- 最期の時に役立つ知識を持っておけば、落ち着いて寄り添える
こうした小さな準備が、いざという時に「後悔の少ない見送り」につながります。
終活は「お別れを考えること」ではなく、今この瞬間をもっと大切にするための愛情表現。
今日からできることを一つずつ始めてみませんか?
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